会議が終わる。録音を書き出す。Google AI Studio を開く。メモアプリに保存してあるプロンプトを貼る。出てきた議事録をコピーして、Slackに流す。
この一連の作業、今日で3回目ではありませんか。
この記事では、AI Studioでの確実な手順とコピペできるプロンプト、公式仕様に基づく上限の整理、そして毎回の手数をどこまで減らせるかまでを順番に扱います。
Geminiで議事録を作る道は2つある
まずここを分けておかないと、読んでいる情報が自分に当てはまるのか分からなくなります。前提条件がまったく違う2つの方法があります。
道1: 録音ファイルをGoogle AI Studioにアップロードする
Googleアカウントがあれば誰でも使えます。会議ツールを問わないのも利点です。ただし録音の書き出しからアップロード、プロンプトの入力まで、すべて自分の手で行います。
道2: Google MeetのGeminiメモ機能を使う
Google Meetには、Geminiが会議中のメモを自動で取る機能が組み込まれています。会議が終われば議事録ができている、という形です。
どちらを読めばいいか
| 道1: AI Studio | 道2: MeetのGeminiメモ | |
|---|---|---|
| 必要なもの | Googleアカウント | Business Standard 以上 |
| 対応する会議 | どのツールでも可(録音があれば) | Google Meetのみ |
| 手間 | 毎回手作業 | 自動 |
| 向いている人 | プランが該当しない、Zoom・Teamsも使う | Workspaceの該当プランを契約済み |
以下は道1、つまり自分でアップロードする方法の話です。
手順|Google AI Studioで議事録を作る
準備するもの
- 録音ファイル: 対応形式は MP3・WAV・AIFF・AAC・OGG・FLAC・M4A など
- Googleアカウント
会議ツールの録画から音声を書き出す場合は、MP3で出しておくのがおすすめです。理由は後述の上限のところで触れます。
実際の流れ
- 録音を用意する
- Google AI Studio を開く
- ファイルをアップロードする
- 文字起こしを依頼する
- 出てきたテキストを議事録の形に整えさせる
一発で議事録にさせないほうがいい理由
理由は2つあります。ひとつは、一度に両方をやらせると要約が先に立って発言の中身が飛びやすいこと。もうひとつは、途中の文字起こしが残っていれば、後から「この決定事項は本当に言っていたか」を確認できることです。
顧客との約束が絡む議事録では、この検証できる状態がかなり効いてきます。
コピペできるプロンプト例
ステップ1: 文字起こし用
この音声を、可能な限り発言内容に忠実に文字起こししてください。
話者が推定できる場合は「話者A」「話者B」のようにラベルを付けてください。
要約や言い換えはせず、話された内容をそのまま書き出してください。
ステップ2: 議事録化用
上の文字起こしをもとに、議事録を作成してください。
以下の見出しに分けてください。
- 会議概要
- 決定事項
- 未決事項
- ToDo(担当者・期限・完了条件を明記)
- 重要な論点
- 次回確認事項
文字起こしに根拠がない内容は書かないでください。
判断がつかない箇所は「要確認」と記載してください。
最後の2行が地味に重要です。これを入れないと、AIが文脈から補って書いてしまうことがあります。議事録は補われると困る文書なので、はっきり禁じておきます。
会議タイプ別の調整
| 会議タイプ | 追加・変更する見出し |
|---|---|
| 顧客ミーティング | 顧客からの要望、懸念点、次回までの宿題(自社側・顧客側で分ける) |
| 社内定例 | 進捗、ブロッカー、判断が必要な事項 |
| 1on1 | 本人が話したこと、支援が必要なこと(※共有範囲に注意) |
先に知っておきたい上限|AI Studioなら1時間の会議も通ります
ここは検索して出てくる情報が食い違っているところなので、公式仕様を基準に整理します。
Google AI Studio の上限
AI Studio は Gemini API の仕様に沿って動きます。公式ドキュメントに記載されている音声の上限はこうです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 音声の長さ | 1プロンプトあたり最大9.5時間 |
| 対応形式 | MP3・WAV・AIFF・AAC・OGG・FLAC・M4A など |
| トークン換算 | 音声1秒あたり32トークン(1分で1,920トークン) |
| 大きいファイル | 20MBを超えるものはFile API経由で扱われる |
「無料は5分まで」という情報について
| Gemini アプリ | Google AI Studio | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 一般向けのAIアシスタント | 開発者向けの検証環境 |
| 料金 | 無料枠と有料プラン | 無料で使える |
| 制限のかかり方 | プランごとの利用量 | リクエスト数・トークン数のレート制限 |
それでも気をつけたいこと
上限に余裕があるとはいえ、実務では次の点が効いてきます。
- 音声はMP3で書き出す。非圧縮のWAVは1時間で数百MBになり、アップロードに時間がかかります。MP3なら同じ会議が数十MB程度に収まります
- 長い音声ほどトークンを消費します。1時間の会議で約115,000トークンです。無料で使う場合はレート制限に当たることがあります
- 分割は基本的に不要です。もし分けて投げると、前半で出た懸念が後半でどう決着したのかをAIが追えなくなり、決定事項の前後関係が壊れます。上限に余裕がある以上、まるごと1本で渡すのが確実です
作ったあとの「配る」で毎回止まる
ここまでで議事録はできました。ただ、作業はまだ終わっていません。
議事録は作れても、届けるまでが手作業
出力をコピーして、どこかに貼って、そのURLを共有する。この最後のひと仕事が毎回残ります。
工程を数えてみる
週6件のペースで、1件あたりの工程を数えるとこうなります。
- 録音を書き出す
- AI Studioにアップロードする
- 文字起こしのプロンプトを貼る
- 議事録化のプロンプトを貼る
- 出力をコピーする
- 共有先に貼り付ける
6工程。週6件なら週36工程、月に約150工程です。1工程あたり1分でも、月に2時間半が消えていきます。
毎回の手数をどこまで減らせるか
月に数回なら、手作業で十分です
わざわざ別のツールを入れる必要はありません。
頻度が上がると、手順の最適化では追いつかない
問題は頻度が上がったときです。
同じGeminiのまま、経路を変える
ここでひとつ、知っておくと選択肢が変わる事実があります。
データの扱いが気になる場合
録音を外部のAIに渡すことに抵抗がある方もいると思います。実際、AI議事録ツールの中には入力データを学習に使う可能性があるものもあり、確認すべき論点です。
まとめ|手順を確実にしてから、頻度で判断する
- Geminiで議事録を作る道は2つ。Business Standard 以上なら Google Meet のGeminiメモが早い。該当しなければ AI Studio へのアップロード
- 文字起こしと議事録化は2段に分ける。精度が安定し、後から検証もできる
- プロンプトには「根拠がない内容は書かない」「判断がつかない箇所は要確認と記載」を必ず入れる
- AI Studio は音声を1プロンプトあたり最大9.5時間まで扱えます。60分の会議は通ります。 「無料は5分」はGeminiアプリの話で、AI Studioの制限ではありません
- 音声はMP3で書き出す。分割は文脈が切れるので、上限に余裕がある以上まるごと渡す
- 月に数回なら手作業で十分。 週に何件も回すなら、工程数で判断する
まずは上のプロンプトで手順を確実にしてみてください。そのうえで月の工程数を数えて、割に合っているかを見るのがおすすめです。
よくある質問
Google AI Studio を使うなら、費用の面では完結します。音声は1プロンプトあたり最大9.5時間まで扱えるので、通常の会議の長さで上限に当たることはまずありません。無料で使う場合にレート制限へ当たることはありますが、その場合は少し時間を置けば再開できます。「無料は5分まで」という情報はGeminiアプリの制限で、AI Studioには当てはまりません。
自動では入りません。プロンプトで指示しても「話者A」「話者B」のようなラベルまでです。実名を入れたい場合は、出力後に置き換える作業が必要になります。会議の冒頭で各自が名乗っている録音であれば、その情報をプロンプトに添えることで対応付けの精度は上がります。
AI Studioにアップロードする方法なら使えます。録音ファイルさえあれば会議ツールは問いません。一方でMeetのGeminiメモ機能はGoogle Meet専用です。ZoomやTeamsが中心なら、道1を選ぶことになります。
音声の品質です。プロンプトの改善より効きます。参加者がそれぞれのマイクで話している録音と、会議室のスピーカー越しに拾った録音では、文字起こしの精度がはっきり変わります。次に効くのが、文字起こしと議事録化を分ける2段構成です。
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Google AI Studio | Geminiのモデルを試せるGoogle提供のプラットフォーム。音声や動画ファイルを直接アップロードして処理できる |
| 文字起こし | 音声を発言内容に沿ったテキストに変換すること。議事録はこのテキストを要約・構造化して作る |
| Geminiメモ(自動メモ生成) | Google Meetに組み込まれた、Geminiが会議のメモを自動で取る機能。Business Standard 以上で利用できる |
| 話者識別 | 誰が話したかを区別してテキストに反映すること。自動では話者A・話者Bのようなラベル付けにとどまる |
| プロンプト | AIに与える指示文。議事録用途では出力する見出しと、書いてはいけないことを明示すると安定する |





