OBSの音声ミキサーを見ても、「デスクトップ音声」という項目がどこにもない。マイクの波形は動いているのに、PCで流している動画の音だけが録れていない。解説記事のスクリーンショットには当たり前のようにあるスライダーが、自分の画面には存在しない。
そして、多くの記事が勧めるBlackHoleのような仮想オーディオを入れる必要も、おそらくありません。OBS 30以降とmacOS 13以降の組み合わせなら、ソースを1つ足すだけで内部音声が録れます。この記事では、バージョンの確認から実際のクリック手順、設定したのに録れないときの確認箇所までをMacに絞って解説します。Windowsをお使いの方は原因がまったく別なので、別の記事をあたってください。
30秒で分かる要点
MacのOBSに「デスクトップ音声」が無いのは仕様です。OBS 30以降とmacOS 13以降なら、ソースに「macOS音声キャプチャ」を1つ追加するだけで内部音声が録れます。BlackHoleなどの仮想オーディオは、この条件を満たすなら入れる必要がありません。録れない場合は設定ではなく、権限・ソースの表示状態・バージョンの3つを疑ってください。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| なぜ録れないのか | macOSはアプリが他のアプリの音を勝手に拾えない設計。OBSの不具合ではない |
| 今の解決策 | OBS 30以降 × macOS 13以降 → 「macOS音声キャプチャ」ソースを追加するだけ |
| BlackHoleは必要か | 上記の条件を満たすなら不要 |
| よくある失敗 | ソースを非表示にすると音声も止まる/macOS更新で画面収録の権限が外れる |
| 所要時間 | 1分ほど(バージョン確認を含めて5分) |
なぜMacのOBSにはデスクトップ音声が出てこないのか
Windowsとの違いは「音の通り道」にある
Windows版のOBSには「デスクトップ音声」という入力が最初から用意されています。OSがスピーカーに流れる音をそのまま別のアプリに渡す経路を持っているためです。
macOSにはその経路がありません。あるアプリが鳴らしている音を、別のアプリが横から拾うことを標準では許可していない設計になっています。プライバシーとセキュリティを優先した結果で、OBSに限らずMac用の録画アプリ全般がこの制約を受けてきました。
つまり「デスクトップ音声が見当たらない」のは、設定を見落としているからでも、インストールに失敗したからでもありません。
だから長い間、仮想オーディオが必要だった
この制約を回避するために使われてきたのが、SoundflowerやBlackHole、VB-CABLEといった仮想オーディオデバイスです。Macの中に架空のスピーカーを作り、そこに音を流し込んで、OBS側ではそれを「マイク」として拾う。遠回りですが、これしか方法がなかった時期が長く続きました。
なお、いま検索して出てくるSoundflowerを使う手順は、Apple Silicon搭載のMacや近年のmacOSでは実質的に機能しません。この手順どおりに進めて詰まっている場合、原因はあなたの操作ではなく情報の古さにあります。
状況は変わっている
追加のドライバもシステム拡張も不要です。まずは自分の環境がこの条件に当てはまるかを確認しましょう。
まず確認する2つのバージョン
OBS Studioのバージョン
メニューバーの「OBS Studio」から「OBS Studio について」を開くと、バージョンが表示されます。
macOSのバージョン
画面左上のアップルメニューから「このMacについて」を開きます。
バージョン別のルート早見表
| あなたの環境 | 取るべきルート | 追加ソフト |
|---|---|---|
| OBS 30以降 × macOS 13以降 | ルートA: macOS音声キャプチャを追加 | 不要 |
| OBS 28〜29 × macOS 13以降 | ルートB: 画面キャプチャに音声を同梱 | 不要 |
| macOS 12以前 または OBS 27以前 | ルートC: アップデート、または仮想オーディオ | 場合により必要 |
大半の方はルートAに該当します。OBSを最近インストールしたなら、まずルートAを試してください。
ルートA:「macOS音声キャプチャ」で追加ソフトなしに録る
手順
- OBSの「ソース」パネルの左下にある + をクリックします
- 一覧から 「macOS音声キャプチャ」(英語表示の場合は macOS Audio Capture)を選び、名前を付けて「OK」をクリックします
- プロパティ画面で、録りたい対象を選びます。デスクトップ全体の音か、特定のアプリケーションの音かをここで指定します
- 「OK」を押すと、音声ミキサーに新しい項目が現れます
対象のアプリで音を鳴らしてみて、音声ミキサーの波形(レベルメーター)が動けば成功です。この時点で緑のバーが揺れていれば、OBS側は音を受け取っています。
デスクトップ全体とアプリ単体の使い分け
対象を選べるのは、Mac版ならではの利点です。用途によって使い分けてください。
| 対象 | 向いている用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| デスクトップ全体 | BGMと動画の音を同時に録る、複数アプリを行き来する解説 | メールやSlackの通知音も一緒に入る |
| アプリケーション単体 | Web会議の相手の声だけ録る、特定アプリの操作解説 | 対象アプリ以外の音は入らない |
チュートリアル動画を録るなら、アプリ単体のほうが安全です。録画の途中で通知音が鳴っても、収録には混ざりません。
音声だけを録りたいときの落とし穴
音声だけを扱いたい場合は、ソースを非表示にするのではなく、他のソースの後ろに重ねて置くか、サイズをゼロにして見えなくします。「設定は合っているのに録音されていない」というケースの多くがこれです。
本番の前に30秒だけテスト録画する
波形が動いていても、書き出されたファイルに音が入っているとは限りません。長時間の収録を始める前に、30秒ほど録画して再生してみてください。
確認するのは次の3点です。
- PCから流れている音が入っているか
- 自分の声(マイク)が入っているか
- 左右の音量バランスが極端に偏っていないか
大事な会議やセミナーを録り終えてから気づくと取り返しがつきません。この30秒が最も費用対効果の高い保険になります。
ルートB・ルートC:条件から外れる場合
ルートB:画面キャプチャに音声を同梱する(OBS 28〜29)
「macOS音声キャプチャ」が一覧に出てこない場合、OBSのバージョンが30より前の可能性があります。この場合でもmacOS 13以降であれば、画面キャプチャのソース側で音を取り込めます。
ソースから「macOS スクリーンキャプチャ」を追加し、プロパティで「音声をキャプチャ」にあたる項目にチェックを入れてください。映像と音声がセットになるため、音だけを扱う自由度は下がります。
とはいえ、この状況で最も早いのはOBS自体を最新版に更新することです。更新すればルートAが使えます。
ルートC:BlackHoleが必要になるケース
次のような場合は、いまも仮想オーディオデバイスが選択肢になります。
- macOS 12以前を使っていて、OSを更新できない事情がある
- 映像ソースをまったく持たない構成で、音声だけを細かくルーティングしたい
設定したのに録れないときの確認箇所
手順どおりに進めたのに音が入らない場合、原因はOBSの設定ではなく、その外側にあることがほとんどです。上から順に確認してください。
1. 画面収録の権限が外れている
システム設定を開き、「プライバシーとセキュリティ」から「画面収録」(macOS 26 Tahoeでは「画面とシステムオーディオの収録」という名称)を選び、OBSが有効になっているか確認します。
権限を切り替えたあとは、OBSを完全に終了してから起動し直す必要があります。ウィンドウを閉じるだけでは反映されません。
2. マイクの権限は別枠になっている
PCの音は入るのに自分の声だけ入らない場合は、同じ画面の「マイク」を確認します。画面収録とマイクは別々の権限として管理されているため、片方だけ許可されている状態が起こります。
3. ソースが非表示になっている
ルートAで触れたとおりです。ソース一覧の目のアイコンがオフになっていないか確認してください。
4. OBSやmacOSのバージョンに起因する不具合
設定に問題がなくても録れないことがあります。2026年8月時点では、macOS 26 Tahoeと特定バージョンのOBSの組み合わせで画面キャプチャが動作しなくなる回帰不具合や、音声が数分で途切れるという報告がOBSの公式フォーラムやGitHubに上がっています。
そもそもOBSでなくてもいい場合
ここまでの手順で解決していれば、この先は読まなくても大丈夫です。ただ、一度立ち止まって考える価値のある点があります。
OBSが本領を発揮するのはこういうとき
OBSは配信のための本格的なソフトです。次のような用途では、他に代わるものがないほど強力です。
- ライブ配信(YouTube、Twitchなど)
- カメラ・画面・画像・テロップを重ねた映像の合成
- シーンを切り替えながらの進行
- エンコード設定を細かく詰めた高品質な収録
これらをやりたいなら、多少の設定コストを払ってでもOBSを使う価値があります。
会議や打ち合わせを記録したいだけなら
一方で、「オンライン会議の内容を後から見返したい」「操作説明を録って共有したい」だけであれば、OBSは目的に対してかなり大がかりです。ソースを追加し、権限を通し、テスト録画をして、という工程はそのたびに発生します。
このタイプの用途に絞るなら、起動して録画ボタンを押すだけで内部音声が入るツールを選ぶほうが目的に合っています。
さらにProプランでは、録画した会議からAIが議事録を自動生成し、そのままNotionに送れます。「録って終わり」ではなく、話した内容がテキストとして残るところまでが1本の流れになります。Proプランは初月無料で、クレジットカードの登録も不要です。
もちろん、配信をするならOBSのままがいいと思います。道具を目的に合わせて使い分ける、という話です。
よくある質問
OBSに「デスクトップ音声」を後から表示させる設定はありますか
ありません。Windows版に存在する「デスクトップ音声」という固定の入力枠は、Mac版のOBSには最初から用意されていません。設定画面のどこを探しても出てこないのが正常です。Macでは代わりに、ソースとして「macOS音声キャプチャ」を自分で追加します。
BlackHoleを入れてしまいました。アンインストールすべきですか
そのままでも害はありません。ただし、Macの音声出力先がBlackHoleのままだとスピーカーから音が聞こえなくなるため、システム設定のサウンドで出力先を通常のスピーカーやイヤホンに戻しておいてください。「macOS音声キャプチャ」を使う運用に切り替えるなら、BlackHole経由のルーティングは使わなくなります。
マイクの音とPCの音を別々のトラックに分けられますか
OBSでは、マイクと「macOS音声キャプチャ」がそれぞれ独立した入力として音声ミキサーに並びます。詳細なオーディオのプロパティで各入力をどのトラックに割り当てるかを指定でき、録画設定で複数トラックを有効にすれば別々に書き出せます。編集で自分の声だけ音量を調整したい場合はこの設定が要ります。
macOSをアップデートしたら急に音が録れなくなりました
画面収録の権限がアップデート時に外れた可能性が高いです。システム設定の「プライバシーとセキュリティ」から画面収録(macOS 26では「画面とシステムオーディオの収録」)を開き、OBSが有効か確認してください。切り替えたあとはOBSを完全に終了してから起動し直します。それでも直らない場合は、OBS側のバージョン起因の不具合も疑ってください。
Web会議の相手の声だけをきれいに録りたいのですが
「macOS音声キャプチャ」の対象をデスクトップ全体ではなく、Web会議アプリ単体に指定してください。メールやSlackの通知音が混ざらなくなります。会議の記録が主目的で、録画そのものより後から内容を見返すことに関心があるなら、録画からAI議事録まで一続きになっている Qureco のようなツールのほうが工程は短くなります。
録音した音がプツプツ途切れます
「macOS音声キャプチャ」で数分後に音が途切れるという報告が、OBSの公式フォーラムに上がっています。まずOBSを最新版に更新し、それでも再現する場合は、ソースを一度削除して作り直してみてください。改善しなければバージョンを戻すのも現実的な判断です。
この記事に出てくる用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 内部音声 / システム音声 | Mac自身が鳴らしている音のこと。Web会議の相手の声、動画の音、通知音などが含まれる。マイクが拾う「部屋の音」とは別物 |
| デスクトップ音声 | 内部音声を指すOBSの用語。Windows版OBSには同名の入力があるが、Mac版には存在しない |
| macOS音声キャプチャ | OBS Studio 30以降で追加されたソース。macOS 13以降で、追加のドライバなしにデスクトップ全体またはアプリ単体の音を取り込める |
| ScreenCaptureKit | macOS 13で整備された、画面と音声を取得するためのAppleの公式の仕組み。「macOS音声キャプチャ」の土台になっている |
| 仮想オーディオデバイス | Macの中に架空のスピーカーを作り、音を別のアプリへ受け渡すためのソフト。BlackHole、Soundflower、VB-CABLEなどが該当する |
| BlackHole | 現在も広く使われている無料の仮想オーディオデバイス。導入するとMacの音声出力先を切り替える必要があり、モニタリング用の設定が別途必要になる |
まとめ
MacのOBSに「デスクトップ音声」が出てこないのは故障ではなく、macOSの設計によるものです。以下の順に進めれば、ほとんどのケースは解決します。
- OBSとmacOSのバージョンを確認する
- OBS 30以降 × macOS 13以降なら、ソースに「macOS音声キャプチャ」を追加する(BlackHoleは不要)
- 波形が動いたら、30秒のテスト録画で書き出しファイルを確認する
- 録れていなければ、画面収録の権限、ソースの表示状態、バージョン起因の不具合の順に疑う
そして、もし目的が「会議や説明を記録して後から見返すこと」なら、設定作業そのものを省く選択肢もあります。配信をするのか、記録を残したいのか。そこがはっきりすると、選ぶべき道具も自然に決まります。





