会議が終わって全員が退出したあと、2年目の部下だけが画面の前に残っています。提出は翌日の午前になることが多く、上がってきたものは発言の順番どおりに並んでいて、決まったことがどこに書いてあるのか探すのに少し時間がかかります。
自分が新人のころも同じことをやっていたので、そのまま続けさせている。けれど、これが本当に本人のためなのかと聞かれると、はっきりとは答えられない。
20代は、週に8.46時間を議事録に使っている
年間320時間という規模
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 議事録作成にかける時間(週平均) | 6.13時間 |
| 年間換算 | 319.6時間 |
| 作成業務に負担を感じている人 | 67.2% |
| 20代の作成時間(週平均) | 8.46時間 |
| 支援ツールを使いたい人 | 72.6% |
| 実際に利用している人 | 1.4% |
新人の2割の時間を何に投資するかは、育成方針そのものです。それが会議の書き起こしでよいのかどうか、意識して選んだ組織は多くないはずです。
2.5時間のうち、どこに時間が消えているか
使いたい72.6%、使えている1.4%
先の調査で注目したいのは最後の2行です。支援ツールを使いたい人は72.6%いるのに、実際に使っている人は1.4%しかいません。
「議事録を書かせると育つ」は、どこまで本当か
支持する側の主張には根拠がある
まず、この慣習を支持する主張を正確に置いておきます。
これは正しいと思います。議事録を書こうとすると、聞き流していた言葉を調べざるを得なくなり、話の構造を自分で組み立て直すことになります。会議に座っているだけでは得られない負荷がかかります。
育っているのは、判断の工程
そのうえで、効果がどこから生まれているのかを分けてみます。
| 工程 | 所要時間の目安 | 育成効果 |
|---|---|---|
| 会議中のメモ取り | 約30分 | 中。何を書くか選ぶ判断が入る |
| 録音からの文字起こし | 60〜70分 | ほぼなし。聞いて打つ作業 |
| 要点の整理・決定事項の抽出 | 残り | 高い。重要度の判断そのもの |
| 体裁を整えて提出 | 数十分 | 低い。フォーマットの作業 |
一方、文字起こしの60〜70分で身につくものはほとんどありません。聞こえた言葉を打ち込む作業に判断は含まれていないからです。ここが、慣習を続けるか変えるかの分かれ目になります。
分ければ、負担だけ外せる
育成の効果を維持したまま、週8.46時間のうち半分以上を取り戻せます。取り戻した時間は、顧客と話す、手を動かす、自分の担当を持つといったことに回せます。
記録を人から外しても、記録は消えない
記録の置き換えなら QurecoMacの画面をそのまま録画し、録画からAIが議事録を生成します。会議にボットを招待する必要がないので、相手に告知するのは「録画します」の一言だけで済みます。録画は無料・時間無制限・ウォーターマークなしで試せます。
日産は議事録を廃止して、写真を配っている
いまなら、録画と自動文字起こしが同じ役割を果たす
同じ構造を、オンライン会議でそのまま再現できます。録画は、模造紙の写真と同じで解釈が入りません。「言った言わない」が起きたときに戻れる原本になります。
そのうえで、AIに要約させれば読む用の文書も手に入ります。人の手が触れるのは、その要約を確認する数分だけです。
若手に残すのは「決定事項とネクストアクションの3行」
記録を仕組みに任せたうえで、若手には判断の工程だけを残します。提出物はこの3行です。
- 決まったこと(決まらなかったことも1行で)
- 次に誰が何をするか、いつまでに
- 持ち越しになった論点
この3行は、書き起こしよりも難しい作業です。1時間の会議から重要な3つを選ぶには、全体の構造を理解している必要があります。育成として狙っていたものは、むしろここに濃く残ります。
来週の定例から変える3ステップ
全社で一斉に変える必要はありません。1つの会議から試せます。
① 対象の会議を1つだけ決める
② 参加者に先に伝える
録画は黙って始めないでください。定例の冒頭で一言伝えれば足ります。
「今日から議事録の代わりに録画を残します。書き起こしはAIに任せて、共有するのは決定事項だけにします。録画は社内のメンバーだけが見られる場所に置きます」
③ 提出物を3行に変える
書き起こしが不要になったことを明示するのも忘れないでください。伝えないまま運用を変えると、録画とこれまでの議事録の両方を作ってしまい、かえって負担が増えます。
| 移行前 | 移行後 | |
|---|---|---|
| 会議中 | メモを取ることに集中 | 議論に参加する |
| 会議後 | 録音を聞いて文字起こし(60〜70分) | 録画を保存、AIが要約 |
| 提出物 | 発言録に近い議事録 | 決定事項とアクションの3行 |
| 若手の負荷 | 週8.46時間 | 会議あたり10分程度 |
| 原本 | 個人のメモと記憶 | 録画そのもの |
切り替えるときに、気になること
実際に変えようとすると、いくつか引っかかる点が出てくると思います。よく挙がるものを先に書いておきます。
いちばん多い心配だと思います。ただ、育成につながっているのは判断の工程なので、そこを残しておけば効果は変わりません。1時間の話から3つを選ぶのは、全文を書き写すよりも重要度の判断を求められる作業です。提出された3行を読めば、理解度を確かめるという目的もこれまでどおり果たせます。
むしろ逆のことが起きやすいです。発言順に並んだ長い議事録は、正直なところあまり読まれていません。3行なら目を通してもらえます。詳しく知りたい人は録画に戻れるので、情報が減るわけでもありません。
いいえ、その必要はありません。定例とプロジェクト会議から始めて、うまくいった範囲だけ広げていくのが現実的です。録画が溜まると保存容量も気になってくるので、残す期間をあらかじめ決めておくと運用が楽になります。
相手に決まった形式があるなら、それに合わせるのがいちばんです。その場合でも、書き起こしの工程は外せます。AIが生成した要約を先方の様式に整える形になるので、ゼロから書くのとは所要時間がかなり違ってきます。
元に戻せます。1つの会議で試すことをおすすめしているのはそのためで、うまくいかなければ次回から議事録に戻せば済む話です。失うものが小さいうちに試せる変更だと思ってください。
まとめ
- 議事録作成にかかる時間は週平均6.13時間、年間319.6時間。20代は週8.46時間で、年間約440時間にのぼる
- 1時間の会議に対する議事録作業は約2.5時間。うち文字起こしが60〜70分を占める
- 「議事録を書かせると育つ」は正しい。ただし育っているのは何が重要かを判断する工程であって、文字起こしではない
- 日産自動車は議事録を廃止し、模造紙の写真配布に置き換えている。記録を無くしたのではなく、解釈が入らない形に変えた
- 移行は会議を1つ選ぶ → 参加者に伝える → 提出物を3行に変えるの3ステップ。若手に残すのは決定事項とネクストアクション
来週の定例を1つ選んで、冒頭で一言伝えてみてください。うまくいかなければ元に戻せますが、たいていの場合、最初に気づくのは会議中に部下が顔を上げて話すようになったことのほうです。





