会議の録画、結局見返さない問題|検索できる記録に変える

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会議の録画、結局見返さない問題|検索できる記録に変える

四半期の振り返り資料を作っていて、3ヶ月前にどの会議で方針が決まったのかを探しています。録画は全部残っています。定例も、プロジェクトの打ち合わせも、クライアントとの会議も。それなのに、どのファイルを開けばいいのかが分からないまま30分が過ぎました。

録画フォルダには数十本。最後に自分で再生したのは、いつだったでしょうか。

この記事は録画の方法の話ではありません。録ったあとに何が起きているか、そしてなぜ起きるのかを、調査データから分解します。先に書いておくと、見返されないのはチームの運用が悪いからではありません。録画という形式そのものが、見返されにくくできています。

録画を見返しているのは、その会議にいなかった人だけ

198人の調査が示した非対称

ワシントン大学とMicrosoft Researchの研究チームが、会議の情報が会議後にどう使われているかを調べた論文があります(Meeting Bridges: Designing Information Artifacts that Bridge from Synchronous Meetings to Asynchronous Collaboration|CSCW 2024)。インフォメーションワーカー13名へのインタビュー、198名へのアンケート、16名の共同設計セッションで構成されています。

このアンケートの数字が、はっきりしすぎていて少し笑えません。

項目割合
会議情報の記録に録画・録音を使っている36.9%
ほとんどの会議で録画を使っている28.8%
録画を少なくとも一部は見返す39%
ごく一部の録画しか見返さない51%
録画をまったく見返さない9.6%
自分が出席した会議の録画を見返す27%
欠席した会議の録画を見返す78%

最後の2行がこの記事の出発点です。録画が再生されるのは、ほぼ「その場にいなかったとき」に限られます。出席した会議については、4人に3人が二度と開きません。

つまり録画は、欠席者のための代替出席装置としては機能していて、全員のための記録装置としてはほとんど機能していない。この差を、容量や画質や保存先の問題だと思って改善しようとすると、たぶん何も変わりません。

ノートは80%が見返している

同じ調査で、ノート(議事録・メモ)についても聞いています。

ノート録画
ほとんどの会議で使う63.8%28.8%
少なくとも一部は見返す80%39%
出席した会議でも参照する64%27%

同じ会議から生まれた2つの記録で、使われ方がここまで分かれます。ノートのほうが情報量は少ないのに、よく使われている。

違いは圧縮されているかどうかです。ノートは、その場で誰かが「これは残す」「これは残さない」と判断した結果だけが載っています。録画は判断を一切していません。すべてが等しく保存されていて、等しく埋もれています。

1時間の会議を思い出すのに、1時間かかる

録画は頭出しができない

同じ論文の中で、参加者がこう話しています。「会議は1時間だが、録画を遡るのにほぼ1時間かかる」。別の参加者は、議会の録画で特定の議案が話されている箇所に飛びたかったが、たどり着けなかったと述べています。研究チームは、録画を残す運用を始めたものの、誰も見返さないため途中でやめたチームの事例も報告しています。

探している発言が何分何秒にあるかは、再生してみるまで分かりません。文字なら目が勝手に飛ばしてくれるものを、動画では等速で待つことになります。倍速再生は対症療法としては有効ですが、2倍にしても30分です。

「あとで見る」は予定に入らない

もうひとつ、現実的な問題があります。会議が終わった瞬間、たいてい次の会議が始まっています。

録画した直後は「あとで見返して整理しよう」と思っています。ただ、その「あとで」がカレンダーに入ることはありません。1時間の会議の振り返りに1時間を確保できる日は、そう多くない。結果として、録画は見返されないまま次の会議の録画に押し出されていきます。

見返す意志がないわけではなく、見返すための時間が構造的に存在していない、という言い方のほうが近いと思います。

探せない情報の2位は、会議の議事録

国内の調査でも、同じ問題が別の角度から出ています。ファインディ株式会社がインテージに委託して2026年3月に実施した自動車業界の実態調査(対象226名、新規事業・商品企画・R&D戦略・IT/DX推進・プロダクトマネジメント職)では、直近半年で「必要な情報にたどり着けず調べ直した」経験がある人が6割を超えました(【自動車業界 実態調査(2)】6割強が必要な情報にたどり着けず、調べ直しを経験|PR TIMES)。

見つからなかった情報の内訳が、この記事の文脈では重要です。

見つからなかった情報割合
社内の過去資料45.8%
会議議事録43.1%
メール・チャット履歴40.5%

会議の記録が探せないことは、体感ではなく実測されている課題です。しかも探索と整理に週1〜3時間を使う層が最多の30.5%、週10時間を超える層も約1割いて、その比率は課長から部長クラスで高く出ています。

記録が増えているのに探せない。この状態は、記録を取っていないのとは別の種類の損失です。取るコストは払っていて、使う便益だけ受け取れていません。

見る前提をやめる、3つの切り替え

ここからは打ち手の話です。方向としては、録画を見やすくするのではなく、見なくて済む形に変換して置いておきます。

①「保存する」から「変換する」へ

録画は原本として置いておき、読む対象は別に作ります。文字起こしと要約です。

大事なのは、この変換が会議のたびに自動で起きることです。「あとで文字起こしに出そう」と思って溜める運用は、「あとで見返そう」と同じ場所に着地します。録画が終わった時点で変換が始まり、自分が何もしなくても読めるものができている、という形にしておかないと続きません。

変換さえ済んでいれば、3ヶ月前の決定を探すときの作業は「キーワードで検索する」に変わります。1時間の再生が、数秒の検索になります。Macでの自動文字起こしの手順はMacで会議を自動文字起こしする方法にまとめています。

②「全部残す」から「残す基準を決める」へ

録画を全部残す運用は、容量の問題である以上に、探すときのノイズの問題です。重要な会議の録画が、雑談回の録画と同じ重さで並んでいると、どれを開くかの判断に時間がかかります。

会議の種類で分けてしまうのが早いです。

会議の種類録画原本要約テキスト目安の保存期間
意思決定を伴う会議・クライアントとの打ち合わせ残す残す1年以上
定例・進捗共有要約が出たら消してよい残す要約は無期限
画面共有での操作説明・デモ残す(映像に価値がある)補助的に手順が変わるまで
1on1・人事や評価に関わる面談原則残さない残す範囲を決めておく短期
保存期間を先に決めておくと、消す判断に毎回悩まなくなります。録画ファイルの容量そのものが気になっている場合は、Mac画面録画の容量が大きい原因は3つで設定による削減方法を書いています。

1on1や労務に関わる面談については、記録を残すこと自体が話す内容を変えてしまいます。線引きは先に決めておくほうが安全です。

③「見つける」から「検索する」へ

最後が置き場所です。文字起こしがGoogleドライブに、要約がSlackに、録画がローカルのフォルダに散っていると、探す前にどこを探すかで迷います。

入口は1つに集約します。議事録の置き場を決めて、そこに録画原本へのリンクを張っておく。普段はテキストを検索し、映像でしか分からない場面に当たったときだけリンクから原本に戻る、という二段構えです。

NotionでのDB設計やタグの付け方はNotionで議事録を管理する方法に実装レベルで書いているので、置き場所を作るところから始める場合はそちらを参照してください。

録画を見ないまま使うワークフロー

会議が終わってから読めるようになるまで

整理すると、必要な工程は3つです。

  1. 会議を録画する
  2. 録画から文字起こしと要約を自動生成する
  3. 要約を決まった置き場に届け、録画原本へのリンクを添える

人の手が入るのは、最後に「読む」ところだけです。1と2の間、2と3の間に人の作業が挟まると、その工程はいずれ止まります。忙しい週に飛ばした分が、そのまま穴になります。

Qurecoの場合

Qurecoは、この3工程をアプリ1つでつないでいます。
Qurecoの録画画面。録画するウィンドウを選び、マイクとシステム音声を個別にON/OFFできる
Qureco公式サイト

録画はインストールしてすぐ始められます。仮想オーディオの設定は要りません。無料の範囲で、録画時間の制限もウォーターマークもなく使えます。自分の端末で録るので、会議に議事録ボットを招待する必要もありません。

Proプランでは、録画が終わると自動でAI議事録が生成されます。話者の識別に対応していて、議事録のフォーマットも自分で決められます。生成された議事録はNotionのデータベースへエクスポートでき、録画原本は30GBのクラウドストレージに残ります。上の3工程が、そのまま製品の動きになっています。

一つだけ注意点です。AI議事録の自動生成とNotion連携はProプランの機能で、無料版でできるのは録画とMP4 / MP3の書き出しまでです。まずは録画だけを無料で試して、変換まで自動化したくなった段階でProを検討する順序で問題ありません。Proは2週間無料で、クレジットカードの登録も不要です。

それでも録画そのものが要る場面

ここまで「録画は見返されない」と書いてきましたが、録画をやめる提案ではありません。役割を分ける提案です。

映像でしか残らないものがあります。画面共有しながらの操作手順は、テキストにすると急に分かりにくくなります。デモの動き、UIのどこをクリックしたか、エラーがどう出たか。こうした情報は要約に落ちません。

声のトーンや間も同じです。議論が紛糾した場面で何が起きていたのかは、文字では再現できないことがあります。

残したい情報要約テキストで足りる録画原本が要る
何が決まったか◯
誰が何を担当するか◯
数字・固有名詞◯
画面上の操作手順・デモ◯
言い方やニュアンス◯
合意したことの証跡◯

そして、欠席者にとっては録画が最も有効な手段であることを、冒頭のデータが示しています。78%が見ているのですから、そこは録画の得意分野です。

録画は「全員が毎回見るもの」ではなく、「必要になった人が、必要な箇所だけ取りに来るもの」。そう位置づけると、残す本数も保存期間も自然に決まってきます。保存先の仕様を整理したい場合は会議の録画データはどこに保存される?も参考になります。

まとめ

  • 出席した会議の録画を見返す人は27%、欠席した会議なら78%。録画が再生されるのは、ほぼ「その場にいなかったとき」に限られる
  • 同じ会議から生まれた記録でも、ノートは80%が見返し、録画は39%。差は画質や保存先ではなく、判断を経て圧縮されているかどうか
  • 国内調査では「見つからなかった情報」の2位が会議議事録(43.1%)。探す負荷は課長から部長クラスに偏っている
  • 打ち手は3つ。録画を変換する、残す基準を決める、入口を1つに集約する
  • 録画をやめる必要はない。操作手順やデモ、欠席者のキャッチアップでは録画が最も強い

今週できることを1つだけ挙げるなら、直近の会議を1本選んで文字起こしし、要約をチームの置き場に置いてみてください。次に誰かが「あれ、どう決まったんだっけ」と言ったときに、再生ボタンではなく検索窓が使われるかどうかで、運用を変える価値があるかどうかが分かります。

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この記事を書いた人

井上 峻輔

井上 峻輔

Qurio株式会社 代表取締役

AIコンサルティング会社Qurioの創設者。上智大学にてAIを専攻し、AI研究サークル「SOMA」を設立。その後、株式会社JPMTの代表として「みんプロ」(ユーザー数1,300人突破)や業務分析SaaS「Optpath」の開発を手掛ける。2025年10月にQurio株式会社を設立し、AI・データ領域の開発・コンサルティングを展開。日経フォーラム「第30回 アジアの未来」に登壇。『テクノロジーの発展を促進する』ことを信条に、AIを活用した新たな価値創出に取り組んでいる。