「これだと、結局何が決まったのか分からない」
提出した議事録にそう返されたことはありませんか。会議中はメモを取るだけで精一杯だったのに、何をどう直せばいいのかも分からない。フォーマットの問題なのか、文章力の問題なのか、切り分けもできない。
この記事では、NG例とOK例の対比で自分の議事録を直す方法、会議中に拾うべき3つの情報、そのままコピペできるフォーマット3種、そして15分で仕上げる手順までをまとめました。
なお、株主総会や取締役会の議事録は、会社法で記載事項が定められています。この記事が扱うのは社内の定例・打ち合わせ・1on1といった業務上の議事録で、法定議事録は対象外です。
伝わらない議事録に共通する3つの原因
まず、自分の議事録がどこでつまずいているかを特定します。ほとんどが次の3つのどれかです。
原因1: 発言を時系列で並べているだけ
会議は行ったり来たりしながら進みます。その流れをそのまま書き写すと、読む側は会議を追体験することになり、結論にたどり着くまでに全部読まされます。
原因2: 決定事項と検討中の話が混ざっている
これが一番読み手を困らせます。
NG: 価格改定について議論した。A案とB案が出て、A案が良いのではないかという意見が多かった。コスト面の懸念も出た。次回もう一度話す。
読み終わっても、A案に決まったのかどうか分かりません。
OK: 【未決】価格改定はA案を軸に検討を継続。次回定例(10/8)で決定する。 ・A案支持が多数。理由は導入企業への影響が小さいため ・コスト試算をもう一度出す(担当: 田中 / 期限: 10/4)
「決まった」のか「決まっていない」のかを最初に宣言すると、読み手は残りを読むかどうかを判断できます。
原因3: 担当と期限が書かれていない
「〜することになった」で終わっている議事録は、誰も動きません。
NG: 資料を修正することになった。
OK: 提案資料の価格ページを修正(担当: 山本 / 期限: 10/6 / 共有先: 営業チーム)
議事録に書かれていないタスクは存在しないのと同じです。担当・期限・完了の状態がそろって初めて、次のアクションになります。
議事録に必ず入れる項目
書き方の前に、入れる箱を決めます。この6つがあれば、どんな会議でも形になります。
| 項目 | 書く内容 | 優先度 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 日時、場所(オンラインならツール名)、参加者、欠席者、記録者 | 必須 |
| 議題 | その会議で扱うテーマの一覧 | 必須 |
| 決定事項 | 決まったこと。議題ごとに整理 | 最優先 |
| ToDo | 誰が、何を、いつまでに | 最優先 |
| 未決事項 | 持ち帰りになった論点と、いつ決めるか | 必須 |
| 次回予定 | 日時と主な議題 | 推奨 |
議事録は、会議に出ていない人も読みます。その場にいた人にしか分からない言い方(「例の件」「さっきの話」)は、読み手にとって手がかりがありません。
決定事項は「主語・動詞・期限」で書く
決定事項の1行は、この3つがそろっていれば伝わります。
- 主語: 誰が・どのチームが
- 動詞: 何をする・何をしない
- 期限: いつまでに、いつから
例: 「営業チームは10月分の提案資料を10/10から新価格版に差し替える」
ToDoは「誰が・何を・いつまでに」を1行で
ToDoを本文の中に埋め込むと見落とされます。チェックボックス形式で独立させてください。
- [ ] コスト試算の再作成(担当: 田中 / 期限: 10/4)
- [ ] 提案資料の価格ページ修正(担当: 山本 / 期限: 10/6)
- [ ] 顧客への案内文ドラフト(担当: 高橋 / 期限: 10/8)
未決事項を書くと次の会議が速くなる
多くの議事録が書き漏らすのが、この欄です。「決まらなかったこと」と「いつ決めるか」を残しておくと、次回の冒頭で議論を再開できます。これがないと、次の会議でまた同じ議論を最初から始めることになります。
NG例とOK例で学ぶ書き換え7パターン
ここからは実際の文の直し方です。自分の議事録を開きながら読んでみてください。
1. 発言の羅列を、結論から書く形に
NG: 田中さんから納期について懸念が示された。山本さんは問題ないと回答。その後、佐藤さんが中間チェックを入れてはどうかと提案。田中さんも同意した。
OK: 【決定】納期は変更せず、10/20に中間チェックを設ける。 ・田中より納期懸念。山本が現状の進捗で対応可能と回答 ・佐藤の提案を採用し、リスク低減のため中間チェックを追加
結論を先に置き、経緯は下に付ける。この順序を変えるだけで読みやすさが変わります。
2. 主語がない文に、主語を戻す
NG: スケジュールを見直すべきという話になった。
OK: 佐藤より、スケジュールの見直しを提案。次回までに修正案を作成する(担当: 佐藤)。
3. 曖昧な期限を、日付に置き換える
NG: なるべく早めに対応する。来週中を目処に。
OK: 10/10(金)17時までに対応する。
「なるべく早く」「来週中」「月内」は、人によって解釈が3日ずれます。日付と、必要なら時刻まで書いてください。
4. 社内でしか通じない略語に、補足を付ける
NG: KTの件はPJ側で巻き取り。
OK: 既存顧客向けトライアル(以下 KT)の対応は、プロジェクトチーム側で担当する。
初出で正式名称を書き、以降は略語で構いません。半年後に読む自分のためにもなります。
5. 事実と意見を分ける
NG: 今月の問い合わせが増えていて、たぶん広告の影響だと思われる。対応が必要。
OK: ・【事実】9月の問い合わせ件数は前月比1.4倍(142件) ・【意見】山本より、9月開始の広告が要因ではないかとの見解 ・【決定】要因分析を実施(担当: 山本 / 期限: 10/9)
記録者の推測が事実のように読まれると、後の判断を誤らせます。ラベルを付けるか、行を分けてください。
6. 長い一文を、1文1情報に割る
NG: 価格改定については既存顧客への影響が大きいため段階的に進めることとし、まず新規顧客から適用して既存顧客は来期からとするが、大口顧客については個別に相談する方針で、その案内文は営業チームが作成する。
OK: ・価格改定は段階的に適用する ・新規顧客: 10/1から新価格 ・既存顧客: 来期(4月)から適用 ・大口顧客: 個別相談。営業チームが案内文を作成
読点でつながった長文は、読み手が構造を組み立て直さないと理解できません。箇条書きに割るだけで解決します。
7. 「〜という話が出た」をやめる
NG: 採用計画の見直しという話が出た。
OK(決定の場合): 【決定】採用計画を見直す。11月までに修正版を提出(担当: 部長)。 OK(未決の場合): 【未決】採用計画の見直しを提起(提起者: 部長)。判断は次回役員会。
迷いやすい論点への判断基準
書き方のコツを知っていても、細かいところで手が止まります。よくある4つに答えを置いておきます。
| 論点 | 判断基準 |
|---|---|
| だ・である調 か です・ます調 か | 社内向けは「だ・である調」で簡潔に。顧客同席の打ち合わせ記録や、社外に共有する議事録は「です・ます調」。組織でどちらかに統一されているなら、それに従う |
| 発言録にするか要約にするか | 原則は要約。発言録が必要なのは、労使交渉・トラブル対応・仕様の言質確認など、発言そのものが後で証拠になる会議のみ |
| 敬称・肩書き | 社内議事録は敬称略が一般的(「田中」)。社外共有版は「田中様」「〇〇部長」。1つの文書内で混在させない |
| 数字とあいまい表現 | 「大幅に増加」ではなく「前月比1.4倍(142件)」。会議で数字が出なかった場合は「数値は未確認」と書く |
判断に迷ったら、「会議に出ていない人が、これだけ読んで動けるか」を基準にしてください。ほとんどの迷いはこれで解けます。
会議中のメモは3つだけ拾う
ここが、議事録が苦しくなる最大の原因です。
完成形を会議中に書こうとすると失敗する
すべての発言を書き残そうとすると、会議の進行から取り残されます。書くほうに意識が向くと、議論の流れが追えなくなり、結果として「何が決まったか」を聞き逃します。発言を全部拾ったのに肝心の決定が抜けている議事録は、こうして生まれます。
拾うのはこの3つ
- 決定の瞬間: 「じゃあそれで」「その方向で」と場が合意した瞬間。何が合意されたかを1行
- 宿題: 誰かに割り振られたタスク。名前と内容だけでいい
- 数字と固有名詞: 後から思い出せないもの。金額、日付、件数、ツール名、会社名
逆に、経緯や議論のニュアンスは書かなくて構いません。この3つさえあれば、会議後に肉付けできます。
記号でスピードを上げる
メモを速くするには、文章を書かないことです。
◎ 価格改定 A案採用
→ 田中 コスト試算 10/4
→ 山本 資料修正 10/6
? 大口顧客の扱い 次回
◎ 決定、→ ToDo、? 未決、# 数字。4つの記号だけ覚えておけば、清書のときに迷いません。聞き逃したらその場で確認する
「すみません、今の決定は〇〇ということでよろしいですか」と会議中に確認するのは、記録者の役割として正当です。会議後に個別に聞いて回るより、全員の時間を節約できます。むしろ、その場で言語化されることで参加者の認識ずれが防げます。
コピペで使えるフォーマット3種
会議の種類ごとに型を変えると、書く速度が上がります。Notion でも Google ドキュメントでも Word でも、そのまま貼って使えます。
定例会議フォーマット
# 【定例】〇〇チーム定例(2026/09/24)
## 基本情報
- 日時: 2026/09/24 14:00-15:00
- 形式: オンライン(Google Meet)
- 参加者: 田中、山本、佐藤、高橋(記録)
- 欠席: 鈴木
## 決定事項
-
-
## ToDo
- [ ] (担当: / 期限: )
- [ ] (担当: / 期限: )
## 未決・持ち帰り
- (いつ決めるか: )
## 議題別メモ
### 1.
### 2.
## 次回
- 日時:
- 主な議題:
議論・意思決定会議フォーマット
# 【意思決定】〇〇の方針決定(2026/09/24)
## 決定事項
- 決定内容:
- 決定理由:
- 決定者:
## 検討した選択肢
| 案 | 内容 | メリット | 懸念 | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| A案 | | | | 採用 |
| B案 | | | | 不採用 |
## 不採用の理由
## ToDo
- [ ] (担当: / 期限: )
## 未決・次に決めること
-
選択肢を表で残しておくと、半年後に「なぜB案にしなかったのか」を聞かれたときに答えられます。意思決定会議では、不採用の理由こそ資産になります。
1on1・打ち合わせフォーマット
# 【1on1】田中 × 高橋(2026/09/24)
## 話したこと
-
-
## 決めたこと
-
## 次回までに
- 本人:
- マネージャー:
## 次回
- 日時:
1on1は決定事項が少ないぶん、「次回までに」をお互いの欄に分けて書くと機能します。
15分で仕上げる手順
会議後に2時間かけているなら、工程を区切ってください。目安はこの配分です。
| 工程 | 時間 | やること |
|---|---|---|
| 1. 清書 | 5分 | 記号メモを型に流し込む。文章は整えない |
| 2. 決定事項の確定 | 5分 | 決定・未決・参考情報に分類し、決定事項を主語・動詞・期限の形に直す |
| 3. ToDoの確認 | 3分 | 担当と期限が全部埋まっているか確認。抜けていたら本人に確認 |
| 4. 共有 | 2分 | 送る。文章の細かい調整はしない |
当日中に出すことが最大の品質
完璧な議事録を3日後に出すより、8割の議事録を当日中に出すほうが価値があります。記憶が新しいうちなら参加者も修正できますし、ToDoの着手も早くなります。
完璧を目指さず、確認を依頼する形にする
自信がない箇所は、そのまま書いて依頼を添えてください。
※ 3つ目の決定事項について、認識に相違があればご指摘ください
こう書いておけば、誤りは参加者が直してくれます。一人で正解を作ろうとするから時間がかかります。
そもそも手で書かない、という選択肢
ここまでの話は「人が書く」前提でした。ただ、すべての会議を手で記録する必要があるかというと、そうでもありません。
手で書くのが向く会議、向かない会議
| 手で書くのが向く | 機械に任せるほうが向く |
|---|---|
| 議題が1つの短い打ち合わせ | 1時間以上の定例 |
| 発言そのものが証拠になる会議 | 参加者が多く発言が交錯する会議 |
| 記録者が議論に参加しない会議 | 記録者も発言する必要がある会議 |
いちばん厳しいのが、最後の行です。自分が発言しながら議事録も取る状況では、どちらかが必ず犠牲になります。
録画してAIに下書きを作らせ、人は判断だけする
工程を組み替えると、こうなります。
- 会議を録画・録音する
- AIが文字起こしと議事録の下書きを作る
- 人は決定事項の確定と、担当・期限の明示だけを行う
3番目は人にしかできません。AIは「何が話されたか」は正確に拾えますが、「そのうちどれが決定なのか」は、その場の空気や組織の文脈を知らないと判断しきれないためです。逆に言えば、人がやることは3分で終わります。
録画からAI議事録、Notionまでを1アプリで完結する Qureco
- 仮想オーディオ設定が不要で、インストールしてすぐ会議音声ごと録画できます
- AIが議事録を自動生成します。出力テンプレートをカスタマイズできるので、この記事のフォーマット(決定事項・ToDo・未決事項)の形で出させることもできます
- 話者識別に対応しているので、「誰が発言したか」が残ります
- Notion連携で、生成した議事録を議事録データベースに直接保存できます
- 会議に議事録ボットを招待する必要がないので、相手側の設定や同意の手間が増えません
無料プランでも録画は時間無制限・ウォーターマークなしで使えます。AI議事録と Notion 連携は Pro プラン(月額980円、2週間無料・クレジットカード登録不要)の機能です。
一つだけ注意点です。対応しているのは macOS のみで、Windows 版は準備中です。
まとめ
議事録が伝わらない原因と、その直し方をまとめます。
- 原因は文章力ではなく工程。会議中に完成形を書こうとすると、聞くことも書くことも中途半端になる
- 会議中に拾うのは3つだけ: 決定の瞬間、宿題、数字と固有名詞。
◎ → ? #の記号で速く書く - 会議後に型へ流し込む: 決定事項は主語・動詞・期限。ToDoは誰が・何を・いつまでに。未決は「いつ決めるか」まで
- 7パターンの書き換えを自分の議事録に当ててみる。特に「〜という話が出た」を決定・未決・参考情報に分類し直すのが効く
- 15分で出して当日共有する。完璧を3日後より、8割を当日
- 自分も発言する会議は、録画してAIに下書きを作らせ、人は決定の確定だけを担当する
◎ → ? # の4記号だけ試してみてください。メモの量が減って、聞くほうに集中できるようになります。




