MacWhisperで会議の文字起こしはできる?無料の範囲とProが必要になる線

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MacWhisperで会議の文字起こしはできる?無料の範囲とProが必要になる線

インストールして、手元の音声ファイルをドラッグしたら文字起こしが出た。ここまでは10分で終わったはずです。

止まるのはその次です。毎週の会議をこれで記録するとして、会議の音声はどこから持ってくればいいのか。

MacWhisperは、Macの中だけで音声をテキストに変えられるアプリです。会議に使えるのかという問いへの答えは「使える」で、しかも無料の範囲でかなりのところまで行けます。ただし、そのまま「議事録が届く」状態にはなりません。この記事では、無料でどこまで行けるのか、Pro(€64の買い切り)が必要になるのはどこからか、そして会議で使うときに引っかかる4点を整理します。

会議の文字起こしはできる

会議の録音から文字起こしまで、アプリの中で繋がっている

MacWhisperには会議を録音する機能があります。公式サイトの機能一覧では、Zoom / Teams / Webex / Skype / Chime / Discord などの会議を自動で録音し、会議の開始と終了を検出すると説明されています(MacWhisper公式サイト)。
加えて「App Audio」として、Mac上で動いているアプリの音声を対象に文字起こしできると記載があります。つまり、外部の仮想オーディオドライバを自分で入れなくても、システム音声側を拾う想定になっています。BlackHoleのような仮想オーディオの設定でつまずいた経験がある人には、ここは大きいはずです(設定なしで内部音声を録る方法はBlackHole不要!Macで内部音声を簡単に録音する3つの方法にまとめています)。

処理はMacの中で終わる

MacWhisperの中身は Whisper(whisper.cpp)で、文字起こしは端末内で処理され、データが外に出ません。100言語以上に対応し、日本語も対象です。
顧客名や未公開の数字が入った会議音声をクラウドに上げたくない、という理由でツールを探していた場合、この一点でMacWhisperが候補に残ります。日本語の下書き用途なら Small モデルでも実用域という評価もあります(MacWhisper入門|パレイド)。

ただし、出てくるのは「文字起こし」

ここが期待とずれやすい部分です。会議が終わって出てくるのは、話した内容のテキストです。

議事録として使うには、そこから要約して、決まったことを抜き出して、置き場所に保存する工程が残ります。MacWhisperにも要約の機能はありますが、後述するとおり自分でAIサービスを繋ぐ形になっています。


録音から議事録、保存までを1本で済ませるなら Qureco
Mac用の録画・録音アプリで、AI議事録の生成までアプリ内で完結します。APIキーの用意も、要約用のAIサービスを繋ぐ作業も要りません。Notionへの保存まで繋がるので、会議のたびに置き場所を考えずに済みます。記事の後半でMacWhisperとの使い分けを書きますが、先に試したい方はこちらから。

無料とPro(€64)の境目

料金の全体像

プラン価格内容
Free0円(Free forever)録音、文字起こし、100言語以上、.txt / .srt / .vtt 出力
Pro€64 買い切り(生涯アップデート込み)上記+.md / .pdf / .html / .docx 出力、フォルダ監視の自動処理、Notion・Zapier・Obsidian・n8n・Make.com・Webhook 連携、CLI操作、字幕翻訳

サブスクリプションではなく買い切りで、アップデートも含まれます。文字起こしの分数上限は公式に記載がありません。

Proを買う理由になるのはどれか

無料版で文字起こし自体はできるので、Proを検討する理由は次のどれかに当てはまるかどうかです。

  • 出力形式: Markdownやdocxで受け渡す運用がある
  • 自動化: フォルダに音声を置いたら勝手に処理してほしい(watch folder)
  • 連携: 文字起こしをNotionやObsidianに流したい
  • 一括処理: 溜まっている過去の音声をまとめて処理したい

逆に、月に数本の音声をテキストにするだけなら、無料のままで足りることが多いはずです。

一点補足しておくと、無料とProの機能の線は公式ページの書き方が揺れている箇所があります。話者認識や連携が無料側に見える記載と、Pro側に見える記載が混在しています。必要な機能が決まっているなら、購入前に公式で該当機能を確認するのが確実です。

話者の分離について報告されている点

会議で使うなら話者の区別は重要ですが、レビューでは話者分離はまだベータ品質で、1人の発言が複数話者に割れることがあると報告されています(MacWhisper 正直なレビュー|Voisty)。

公式サイトのスクリーンショットでも、話者ごとに色分けして表示する「Speaker Grouping」には BETA のラベルが付いています。

MacWhisperの文字起こし画面。話者ごとに色分けされたトランスクリプトと、右側の Speaker Grouping に BETA のラベルが表示されている
MacWhisper公式サイト

2人の打ち合わせなら実害は小さいですが、5人以上の定例で「誰が言ったか」を残したい場合は、テキストを自分で直す前提で見ておくのが安全です。

会議に使うときに引っかかる4点

① 会議の音声を用意する工程が残る

会議の自動録音は用意されていますが、それは自分のMacで会議を開いている場合の話です。
音声だけを別のICレコーダーやスマホで録っているなら、そのファイルをMacに移してからD&Dする流れになります。実際、MacWhisperは「ファイルをドラッグして文字起こしする」使い方が本筋のアプリとして整理されることが多く、会議の録音は別のアプリに任せる構成を勧める記事もあります(Macでオフライン会議文字起こし|Whisper Notes)。

② 対応アプリの一覧にブラウザ会議が名指しされていない

見落とされやすい点です。公式が自動録音の対象として挙げているのは Zoom / Teams / Webex / Skype / Chime / Discord で、Google Meet のようにブラウザで開く会議は名指しされていません(「and more」とは書かれています)。
Meetを使っているなら、アプリ単位の自動検出ではなく App Audio でブラウザの音声を拾う形になります。動くかどうかは自分の環境で一度試して確かめてください。Meet を含めた会議側の録画の可否はGoogle Meet・Teamsの録画ボタンがない・押せない原因と対処法で整理しています。

③ 映像は残らない

MacWhisperは音声とテキストを扱うアプリで、画面の映像は残りません。

これは欠点ではなく設計です。ただ会議の記録として考えると、画面共有されていた資料は文字起こしに現れません。「この数字、どのスライドでしたっけ」を後から確かめる用途には向きません。逆に、画面を残す必要がない1on1や電話の記録なら、音声だけのほうが軽く扱えます。

④ 要約は自分のAIサービスを繋ぐ形

MacWhisperには Summarize や Chat、カスタムプロンプトの機能があり、ローカルモデルとクラウドモデルの両方に対応しています。対応先として OpenAI、Anthropic、xAI、Google Gemini、Ollama などが挙げられています(MacWhisper公式サイト)。

裏を返すと、クラウドのモデルで要約するならAPIキーの取得と従量課金が別に発生します。ローカルモデル(Ollama等)を使うなら課金は不要ですが、モデルの導入は自分で行う必要があります。

無料のまま完全自動の議事録にはならない、というのはこの部分です。プロンプトを自分で用意する前提なら、ChatGPTで議事録を作るプロンプト集がそのまま使えます。

MacWhisperで足りる場面・足りない場面

用途で切り分けると判断が早くなります。

用途MacWhisperで足りるか
溜まっている過去の音声をまとめてテキスト化足りる(一括処理が向く)
クラウドに音声を上げられない機密の会議足りる(端末内で処理が完結する)
動画の字幕(srt / vtt)を作る足りる
買い切りで済ませたい足りる(€64、サブスクなし)
毎週の定例を回して議事録まで出す要約と保存を別に組む必要がある
画面共有の資料も含めて残したい映像が残らないので別途録画が必要
議事録をNotionに自動で置きたいPro側の連携、または別ツールが必要

「ローカルで完結させたい」が要件の中心なら、MacWhisperを使い続けるのが正解だと思います。以下は、毎週の会議を回す側に寄っている人向けの話です。

録画から議事録まで1本で繋ぐ場合

会議を毎週記録する運用にすると、残る作業はだいたいこの4つです。

  1. 会議の音声(できれば映像も)を録る
  2. 文字起こしする
  3. 要約して、決まったことを抜き出す
  4. 決まった場所に保存する
MacWhisperは2を強く担当し、1も条件次第でカバーします。3と4を自分で組む前提です。この3と4まで含めて1本で通したい場合の選択肢として、Qurecoがあります。
  • 画面と音声をまとめて録画できます。マイクとシステム音声を個別にON/OFFでき、仮想オーディオの設定は不要です
  • 音声のみのモードもあるので、画面を残したくない面談では音声だけにできます
  • AI議事録がアプリ内で生成されます。APIキーの用意は要りません。テンプレートをカスタマイズできるので、出力を「決定事項・宿題・期限」のような形に寄せられます
  • Notionに送れるので、保存先を毎回考えずに済みます
Qurecoの録画画面。マイクとシステム音声を個別にON/OFFでき、レベルメーターで入力を確認できる
Qureco公式サイト

録画と録音そのものは無料で、時間の制限もウォーターマークもありません。AI議事録の生成とNotion連携はProプラン(月額980円のローンチ価格、2週間無料でクレジットカードの登録も不要)です。

一つだけ注意点です。Qurecoの文字起こしと議事録の生成はクラウド側で処理されます。音声を端末の外に出さないことが要件なら、MacWhisperのローカル処理のほうが条件に合います。買い切りで済ませたい場合も同じです。
録音から文字起こしまでの具体的な流れはMacで会議を自動文字起こしする方法にまとめています。ツールを横並びで比べたい場合は会議の自動文字起こしツール比較7選が早いです。

よくある質問

無料版に分数の制限はありますか

公式サイトには文字起こしの分数上限の記載がなく、「Free forever」とだけ書かれています。ただし高精度なモデルや一部の出力形式はPro側に置かれているため、無料版では「モデルと出力の選択肢が絞られる」と理解するのが実態に近いです。

Google Meetの会議は文字起こしできませんか

自動録音の対象として名指しされているのは Zoom / Teams / Webex / Skype / Chime / Discord です。Meetはブラウザで動くため、App Audio でブラウザの音声を対象にする形になります。自分の環境で短い会議を1本試してから、本番の会議に使うのが安全です。

日本語の精度はどのモデルなら実用になりますか

下書き用途なら Small でも実用域という評価があります。固有名詞や社名を正確に残したい場合は上位モデルのほうが安定します。いずれの場合も、社名と数字は後から目で確認する前提で運用したほうが事故が起きません。

Superwhisperとどちらを入れるべきですか

用途が違います。MacWhisperは音声ファイルやアプリ音声をテキストにするアプリ、Superwhisperはカーソルのある場所に喋った内容を入力する音声入力アプリです。会議の記録が目的ならMacWhisper、メールやコードを喋って書きたいならSuperwhisperという分け方になります。

ローカル処理なら本当にデータは外に出ませんか

文字起こしについては端末内で処理されると公式に説明されています。ただし要約でクラウドのモデル(OpenAIやGeminiなど)を繋いだ場合、そのテキストはAPI経由で外部に送られます。ローカル完結を維持するなら、要約もローカルモデルで行う設定にする必要があります。

まとめ

  • MacWhisperで会議の文字起こしはできる。公式は Zoom / Teams / Webex / Skype / Chime / Discord の自動録音に対応と明記しており、App Audio でアプリ音声も対象にできる
  • 無料の範囲が広い。録音、文字起こし、100言語以上、txt / srt / vtt 出力まで無料。Proは €64 の買い切りで、md / docx 出力、フォルダ監視、Notion等の連携、CLIが加わる
  • 会議で使うときに引っかかるのは4点。音声を渡す工程・ブラウザ会議の扱い・映像が残らない・要約は自分のAIサービスを繋ぐ形
  • ローカルで完結させたい、買い切りで済ませたいなら、MacWhisperを選ぶ理由がはっきりある
  • 毎週の会議を回して議事録まで自動で届けたいなら、録画・要約・保存が繋がっている形のほうが手数が少ない

まずは無料版のまま、次の会議を1本だけ録って文字起こししてみてください。そこで残る手作業が「毎週やれる量」かどうかで、Proを買うのか、別の形にするのかが決まります。

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この記事を書いた人

井上 峻輔

井上 峻輔

Qurio株式会社 代表取締役

AIコンサルティング会社Qurioの創設者。上智大学にてAIを専攻し、AI研究サークル「SOMA」を設立。その後、株式会社JPMTの代表として「みんプロ」(ユーザー数1,300人突破)や業務分析SaaS「Optpath」の開発を手掛ける。2025年10月にQurio株式会社を設立し、AI・データ領域の開発・コンサルティングを展開。日経フォーラム「第30回 アジアの未来」に登壇。『テクノロジーの発展を促進する』ことを信条に、AIを活用した新たな価値創出に取り組んでいる。